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薬物乱用と健康 1818 関川佳希

1 テーマを選んだ理由 最近のニュースなどでたびたび話題となる「脱法ハーブ」について、なぜあのような事態に至ってしまうのか興味を持ったのでこの機会に詳しく調べてみようと思いました。

2 本文 2-1 薬物乱用とは 薬物乱用とは、薬物を不正な目的や方法で使用することを言います。医薬品を医療目的以外で使用したり、医療目的にない薬物を不正に使用したりすることなども含みます。 たとえば、不眠症でないのに酩酊感を味わうために睡眠薬を飲んだり、シンナーを遊びや快楽を得るために使用することです。 このような目的で使用した場合、たとえ1回使用しただけでも、薬物乱用にあたります。

2-2 薬物の種類 薬物には以下のものがあります。 【覚せい剤】 中枢神経が興奮し、気分が高揚して、疲労がとれたように感じますが、薬が切れるとその反動で、強い疲労感や倦怠感、脱力感が襲ってきます。繰り返し使用していると、中枢神経に異常をきたし、幻覚や妄想を伴う覚せい剤精神病になります。大量に摂取すると死んでしまうことがあります。 【シンナー等有機溶剤】 急激に酩酊状態となり、大量に摂取すると、呼吸困難に陥り死に至ります。情緒不安定、無気力となり、幻覚や妄想が現れて、有機溶剤精神病になります。 【大麻(マリファナ)】 感覚が異常になり、幻覚や妄想が現れます。乱用を続けていると無気力になり大麻精神病になります。生殖機能の低下、月経異常を引き起こすとの報告もあります。 【コカイン】 覚せい剤とほとんど同じ作用を示しますが、効果が迅速で強烈です。大量摂取すると痙攣発作が繰り返し起こり、死んでしまうこともあります。幻覚や妄想が現れて、コカイン精神病になります。 【ヘロイン】 落ち着いたような気分を味わいますが、薬が切れると嘔吐や痙攣などの激しい退薬症状(離脱症状)に襲われます。大量に摂取すると、呼吸困難に陥り、死んでしまうこともあります。 【LSD】 幻覚が現れます。色彩感覚が麻痺し、空間が歪んだような感覚に襲われます。転落などの事故死の原因になります。 【マジックマッシュルーム】 サイロシン、サイロシビンなどの幻覚を引き起こす麻薬が成分として含まれており、LSDと似た作用を示します。麻薬原料植物として規制されています。 【MDMA】 覚せい剤とほとんど同じ作用とLSDのような幻覚作用があります。急性中毒で、死んでしまうことがあります。

どれも幻覚などを伴い、大量に摂取すると死に至るということが判ります。 これらは私たちが子供の時から違法なものであるとしてドラマや小説の中でおなじみのものでした。一方で最近よく耳にするものとして危険ドラッグがあります。

2-3 危険ドラッグ 危険ドラッグは、合法ドラッグ・脱法ドラッグ・違法ドラッグとその内容・社会情勢とともに変遷してきたものの最新の呼称です。 「合法ドラッグ」「脱法ハーブ」などと称して販売されるため、あたかも身体影響がなく、安全であるかのように誤解されていますが、大麻や麻薬、覚せい剤などと同じ成分が含まれており、大変危険で違法なドラッグです。 危険ドラッグには、既に規制されている麻薬や覚せい剤の化学構造を少しだけ変えた物質が含まれており、体への影響は麻薬や覚せい剤と変わりません。それどころか、麻薬や覚せい剤より危険な成分が含まれていることもあります。実際はどんな危険性があるのか、わからないのです。 危険ドラッグは、法の網をくぐりぬけるために「お香」「バスソルト」「ハーブ」「アロマ」など、一見しただけでは人体摂取用と思われないよう目的を偽装して販売されています。色や形状も様々で、粉末・液体・乾燥植物など、見た目ではわからないように巧妙に作られています。 デザインされたパッケージやカラフルな液体は、危険な薬物に見えないため、キレイ、かっこいいという印象を持ってしまいますが、中身は売っているほうもわからない恐ろしい薬物です。

危険ドラッグがなぜこれほど多く出回っているのでしょうか。 それは、こうしたドラッグが、法律の網の目をすり抜けるために、意図的に作り出されたものだからです。厳しく規制されている麻薬や覚せい剤とそっくりだが、化学構造が少し違うだけのものが次々と生み出されています。もちろん、正規の医薬品ではなく、乱用目的で製造され、用途や内容を偽って輸入されたものです。こうして生まれたドラッグは、その作用や危険性は麻薬や覚せい剤とほぼ同じです。 法律は、規制対象となる薬物をとても厳密に指定しているため、化学構造がほんの少し違うだけで、別なものとみなされて、規制が及ばないことがあります。こうした現実を逆手にとって、法律をすりぬける目的で開発されているのです。 しかし、法律をすり抜けることができるのは、わずかな期間だけのことです。危険な作用が確認されると、指定薬物としてその販売が取り締まられます。そうするとさらにまた化学構造の違うものが開発されるということが繰り返されるのです。

最初に挙げた歴史ある薬物はある意味こなれていると言えましょう。その影響や分量などが長い歴史の中での実績からある程度把握されています。しかし、危険ドラッグは短い周期のいたちごっこの中に出回るものであるためその健康被害の度合いや分量などは販売している側も把握しているとは思えません。それゆえ歴史的なものよりも危険の度合いが高いかもしれません。文字通り危険ドラッグなのです。

2-4 危険ドラッグの危険性 最近、危険ドラッグを吸引した直後の事件事故が相次いでいます。今年1月から7月までに、危険ドラッグの吸引が原因とみられる交通事故が全国で少なくとも84件発生しているとのことです。2011年はゼロだったものが2012年に42件2013年に67件と増え続けてきましたが今年はその伸び率を上回っています。 この伸びは別に薬物愛好家の間で、薬物を摂取して自動車を運転することが流行っているから…という理由ではありません。危険ドラッグの吸引による交通事故が増えているのは、主に二つの理由が考えられます。 ~危険ドラッグは吸う場所を選ばない~ 危険ドラッグもつい最近までは「脱法ハーブ」とか「脱法ドラッグ」という呼ばれ方をしていました。大麻や覚せい剤みたいな、「違法ドラッグ」と似た効果はあるけど、法律では違法薬物として指定されていない“法を脱した薬物”を「脱法○○」と総称しているわけです。つまり法律的にはグレーだと言われていても、一応合法なのですから、違法ドラッグみたいにコソコソ隠れて吸う必要はありません…と、少なくとも危険ドラッグをやっている人たちはそう思っています。ですから危険ドラッグの場合は現物を買った後に、すぐその場で吸ってしまう人も多いのです。その結果、危険ドラッグの作用で意識が白濁した状態で車を運転したり、車に乗り込んだ時には自覚症状がなくても、運転している最中に突如正気を失って事故を引き起こすことになります。 ~成分が不明確である~ 前述のように違法薬物に指定されている大麻や覚せい剤といったモノは、世に出回ってからすでに何十年、何百年という長い歴史があります(特に大麻は2700年の歴史があるとされる)。ですから一度にどの位の量をどういう方法で摂取すれば、どういう症状になるかといったノウハウは知れ渡っています。ところが危険ドラッグは大麻や覚せい剤のような正しい使用法はまったく確立されていません。そもそも危険ドラッグの正体は、違法薬物を構成する化学式によく似ているけれど、違法薬物に指定されていない物質です。 どんな副作用があるかなんて検証は、ほとんどされていません。 さらに危険ドラッグの製造現場は、中国辺りで製造された化学物質を乾燥させた普通の草に振りかけて作られています。その設備は下町の内職工場並みの設備であり、品質のバラつきも激しく、同じ分量のハーブに均一に化学物質が添加されているわけではないのです。 効能も不明なら、含有量も不明。こんな危険なドラッグを吸って事故を起こさないほうが不思議なのです。

2-5 薬物乱用の健康への影響 薬物乱用の最も恐ろしい特徴は、薬物の“依存性”と“耐性”です。 一回くらいなら大丈夫と思っても、また使いたくなり、繰り返し使わずにはいられなくなってしまいます。また使用を繰り返しているうちに、それまでの量では効きめがうすれていきます。一回だけと思って始めた人も、薬物の“依存性”と“耐性”によって使用する量や回数がどんどん増えていき、どうしようもない悪循環に陥ります。そうなると、もはや自分の意思だけでは止めることはできません。

2-6 薬物がもたらす社会問題 薬物乱用は乱用者自身にとどまらず,周囲の人びとにも取り返しのつかない不幸をもたらしたり,大きな社会的な損失をもたらしたりします。たとえば,薬物を手に入れて使用することが最優先となり,家族や友人をだましたり,盗みを働いたりしてしまいます。さらに幻覚や妄想が起こり,他人を傷つけてしまう。など自分への健康被害にとどまらず家族・友人知己にまでその範囲が及んでしまいます。

2-7 薬物乱用への誘い 薬物乱用は,法律で厳しく取り締まられているにもかかわらずなくなりません。だれがどのような方法で,売ろうとしているのでしょうか。薬物売買の裏には多くの場合暴力団が関係しており,多くの若者に広めようとしています。繁華街で売人に売らせたり,乱用者自身が売人になったりして「やせ薬」などと称して,その危険性を隠して言葉巧みに誘ってくるのでだまされる若者が多いのです。

2-8 誘いの対処について 街角で「やせ薬があるよ」「勉強に集中できる薬があるよ」などと誘われた場合,どのようにその誘いを断ればよいでしょうか。もし売人に誘われたら「いらない,いらない」と繰り返し相手にしないことが一番でしょう。立ち止まって話を聞いたりすると言葉巧みに,自分の意に反して買わされるてしまいます。勧誘などもそうですが自分から買おうと思ったもの以外は考慮すらしない習慣を身につけましょう。 次に友人や先輩から誘われたらどうやって断ればいいのでしょうか。社会においては友人や先輩から誘われるとなかなか断れきれない場合存在します。しかし考え方を変えればそのようなものを誘ってくる段階で彼らは友人や先輩ではないのです。ただの売人です。なのできっぱり断りましょう。それでもだめな場合は「だって」「でも」「どうして」を繰り返し,相手があきらめるまで粘り強く断ります。それ以外の発言はしないのです。またきっぱり断るために自己主張的コミュニケーションを身につけるのもいいかもしれません。いずれにせよ誰かが声をかけてきたときいち早くそれが薬物販売の勧誘であることを見抜けることが大事です。

3 まとめ 薬物乱用は、自己の健康の破壊にとどまらず自己や家族の社会的な破滅、第三者への


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